雪屋のロッスさん

いしいしんじの『雪屋のロッスさん』。いろいろなことをするいろいろな人(や人間以外のモノ)を主人公にした掌編集。

大泥棒の前田さんとか、パズル制作者のエドワード・カフ氏とか、ポリバケツの青木青兵とか、目次を見ただけでワクワクしてくる。もったいないから一日一話ずつ読もうと思ったのに、ついつい次々読んでしまった。だって楽しいんだもん。

いしいしんじの本は、「小説」というより「お話」と言ったほうがしっくりくる。変わり者の親戚のおじさんがお正月にふらりと遊びに来て、「そういやこないだ、こんな人に会ったなあ」とか言って、ウソかホントかわからないことをぺらぺらしゃべっているような感じ。もっと聞かせてよー、とせがみたくなる。

全体的にやわらかい雰囲気なのに(だいたい、装丁からしてほわっとしてる)、いきなり醜いものを突きつけられたり、背筋が寒くなったりする。ものすごくつらい話もあるんだけど、でも、そういうギクっとすることも、ゾッとすることも、悲しいことも全部ひっくるめて、温かい世界が広がっている。幸せです、こんな本を読めるなんて。

私も島田さんの焚いたお湯につかりたい。るみ子さんの調律したピアノを弾きたい。スミッツ氏の売る棺桶はまだ買いたくないけど、たつ子さんのお店で果物を買いたい。白木さんみたいな神主になってみたい。栗にマッサージしてほしい。

ところで、なぞタクシーのヤリ・ヘンムレンが出したなぞなぞ「大きな闇で、中くらいの闇が、ちびの闇をのみこんだ。これ、なあんだ」って、答えなに? 気になるー。
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by csiumd | 2006-03-05 20:26 |
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