ミカエル・ニエミの『世界の果てのビートルズ』。スウェーデンの北の果てでロックンロールに夢中になる少年と、その地に生きる愛すべき人たちの物語。おおいに笑って、じわっと懐かしい気分になる小説。
この話、とにかく酒くさい。エピソードの大半に酔っぱらいが絡んでいる。中学生くらいのガキどもまでが、自作の密造酒で大酒飲みコンテストを催したりする。北極圏みたいなところだと、お酒でも飲んであったまらないと、寒くてやってられないんだろうな、きっと。だからって、倒れるまで飲む必要もないんだけど(というか、雪のなかで酔いつぶれたら凍死しちゃうでしょ? だいじょうぶなの?)。 それにしても、酔っぱらいという生き物は、万国共通でおもしろい。 結婚式の宴会で、ちょっとした諍いをきっかけに、酔っぱらった男どもによる花嫁側親族vs.花婿側親族の腕相撲合戦がはじまり、勢いあまって婆さん連中までもが指相撲合戦を繰り広げ、あげくの果てにサウナでの我慢大会に突入するくだりなんて、ハチャメチャでもう最高。おもしろすぎる。 ところで、この宴会に不思議な食べ物(飲み物?)が出てきた。デザートの一品として出されたメニュー。なんでも、塩気の強いトナカイの干し肉をコーヒーに入れ、さらにチーズをひとかけ加え、唇に角砂糖をはさみ、肉とチーズを混ぜたコーヒーを受け皿に空けて、それをすするらしい。 コーヒーと肉とチーズと角砂糖?? どんな味か、まったく想像がつかない。でも、「天にも昇る美味」って書いてある。ほんとかなぁ。トーネダーレン地方の伝統なんでしょうか。日本で言えば、緑茶に梅干を入れるようなもの? ちょっと怖い気もするけど、いちど味見してみたい。
by csiumd
| 2006-02-03 19:30
| 本
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