カテゴリ:アート( 4 )

セルビアのナイーヴ・アート

多摩美術大学美術館で開催中の『セルビアのナイーヴ・アート』展に行った。最初にこの情報を目にしたときから、「あ、これは好きそうだな」とは思っていたのだが、予想以上に好みのツボを直撃した。

「ナイーヴ・アート」というのは、旧ユーゴで生まれた民衆絵画のこと。この展覧会では、おもにコヴァチッツア村で活動する画家の作品が集められている。どれも農村の風景や農民たちの暮らしを描いた牧歌的で素朴な絵で、出典作品を1冊の本にまとめて「コヴァチッツア村の一年」とでもタイトルをつければ、そのまま絵本として通用しそうな感じだ。

若干の例外はあるけども、ほとんどがカラフルで楽しげで、東欧の民族衣装がそのまま絵になったような雰囲気がある。あのあたりの冬は相当厳しいだろうと思うのだけれど、雪の夜を描いた絵でも、不思議と温かな空気が漂っている。見ているだけで楽しくなる。

あまりにも気に入ったので、めったに買わない図録を買って帰った。こまごまとした絵が多いので、家で細部をじっくり見ていると、会場では見落としていたことがいろいろと見つかる。ちょこまかとした人物たちの動きがとても楽しい。

この展覧会の会場では、画家紹介のVTRが流れていた。言葉による説明はいっさいなく、民族音楽風のBGMにのせてひたすら村の風景と絵をオーバーラップさせる構成のVTRなのだが、これがすごくおもしろかった。このVTRを見ていると、写実的とはほど遠い絵なのに、村の風景や雰囲気を、そこで暮らす人の目線から確実に伝えていることがよくわかる。

絵というものは、技術うんぬんよりもまず、「何を見て、何を感じるか」ということが大きな意味を持つのだな、という印象を強く受ける展覧会だった。
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by csiumd | 2008-09-04 13:39 | アート

ボローニャ国際絵本原画展

板橋区立美術館で開催されている『2008イタリア・ボローニャ国際絵本原画展』を観にいった。

この展覧会は、ボローニャで毎年開催される絵本原画コンクールの入選作品を展示するもの。キュートなのものからシュールなもの、ちょっとグロテスクなものまで、バラエティに富んだ原画がずらりと並んでいて、とっても楽しい。

原画は5枚1組で展示されていて、簡単な説明が添えられているだけだから、実際の絵本がどんなものなのかは勝手に想像するしかないが、それもまた楽しい。お昼すぎに入館して、気づいたらもう夕方。数時間があっというまにすぎていた。

ミュージアムショップで受賞作家の絵本や各国の絵本が売っていたので、選びに選んで気に入った2冊を購入した。

1冊目は、カラフルな版画がキュートなFranziska Neubert画の『Si polis et tout et tout』。イラストレーターはドイツ人だけど、絵本自体はたぶんフランス語。なのでまったく読めないが、おそらくおてんば娘がやんちゃをする話だろうと推察される。

もう1冊は、イランの絵本。こちらは読めないどころか、アラビア文字だからタイトルも書けない。そのうえ絵も抽象的なので、上の本よりもさらにわからない。キツネ(たぶん。定かではない)が自転車に乗って冒険する話……のような気がする。森とか草原とか街の風景が装飾的で、とても美しい。意識していなかったが、これも版画だった。

もうひとり気になったのが、特別展示で紹介されていたアイナール・トゥルコウスキィという人。おそろしく細密な鉛筆画で、独特のノスタルジックな雰囲気がある。もっとじっくり見たかったが、この人の絵本は日本語訳も出版されているようなので、ここじゃなくても手に入るだろうと思ってひとまず置いてきた。こんど本屋で探してみたい。
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by csiumd | 2008-08-02 14:54 | アート

犬棒かるた

甥っ子の誕生日プレゼントになんかいいもんないかなー、と思ってアマゾンのおもちゃコーナーを見ていたら、うっかり武井武雄の犬棒かるたを見つけてしまい、プレゼントそっちのけで自分のために買ってしまった。

このかるたは、昭和9年に発行されたものの復刻版で、絵札の絵も字札の字も武井武雄の手によるものらしい。武井武雄独特のユーモラスでちょっと不気味で、でもなんだかわくわくする雰囲気が存分に発揮されている。

武井武雄の絵って、人物の表情がおもしろいのはもちろんだけど、ちょっとした細部や小道具がものすごくいいと思う。「れいやくは くちににがし」なんて、薬の袋がぽつんと描いてあるだけなのに、なんだかやけに味がある。

私のお気に入りは、「うらなひしや みのうへしらず」。やたらと顔の長い占者がいかにもぼんやりとしていて、ムズムズとおかしい。笑いのツボが微妙に刺激される。

あと「まけるが かち」も好き。強そうな人がひょろっとした人を踏みつけている絵柄なんだけど、踏みつけられている人がにっこにこで楽しそうなのに、踏みつけている人がぷんぷんと怒っている様子がなんともかわいい。

眺めているだけでも、かなりの時間をつぶせる逸品だ。というか、つぶしてはいけない時間までつぶしてしまいそう……
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by csiumd | 2007-10-26 12:01 | アート

茂田井武展

ちひろ美術館で開催中の茂田井武展に行った。

茂田井武の絵は、見ていると幸せな気分になる。大好きだ。

今回の展示作品のなかで印象に残ってるのは、『ヘンゼルとグレーテル』の絵。お菓子の家を見つけてうっきうきの兄妹に、思わず顔がほころんでしまう。持って帰りたくなった。

あと、『エーミールと探偵たち』の挿絵。子どもたちがベルリンの街をぞろぞろ歩いているところ。この本は結局、未完だったらしい。残念だ。茂田井武の挿絵で読むエーミールなんて、想像しただけでも楽しそうなのに。

茂田井武が長女のためにつくった絵本も展示されていた。茂田井武に手ずから絵本をつくってもらえるなんて、なんとうらやましい。私も茂田井武の娘に生まれたかった。

ちひろ美術館に行くのは今回が初めて。とても雰囲気のいい美術館だった。いわさきちひろの絵は、特別に好きというわけではなかったのだけれど、この美術館をぐるりと見終わるころには、すっかりとりこになっていた。原画の力のなせるわざ? それとも数の勝利か?

あやうく、いわさきちひろの絵本をどっさり買って帰りそうになったけれど、今回のメインは茂田井武だったので、なんとか思いとどまった。どのみち、そのうちに買ってしまうのだろうけど。
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by csiumd | 2006-11-22 21:43 | アート