文学座の『シラノ・ド・ベルジュラック』を観た。
『シラノ~』は、この話を題材にしたものとかパロディとかをあちこちで目にするので、筋だけはぼんやりと知っていたけれど、せっかくの機会なのでちゃんと観てみようと思ったのだ。 恋敵のラブレターを代筆して、報われない恋に苦しむ醜い男の哀れな物語……というのが私の理解していた『シラノ~』のおおよその筋。けど、この芝居を観たら、この状況って、シラノよりもクリスチャンのほうがみじめなんじゃないの? という気がした。「美男子」という設定のわりに、クリスチャンがいかにもお人好しっぽい顔をしてたから、そう感じるだけか? だいたいロクサーヌって、なんてひどい女なんだ。やたらと美辞麗句を求めるのもどうかと思うけど、クリスチャンの辞世の手紙が実はシラノの書いたものだったと知ったときの「この手紙はクリスチャンとはなんの縁もない」という主旨の発言は、あまりにひどい。それじゃクリスチャンが哀れすぎる。でも、ふたりがかりで騙され続けたロクサーヌも、よく考えたらけっこう哀れだ。あまり責められないかもしれない。 それにしてもこの芝居、古典だと思って油断(?)していたら、ものすごくおもしろかった。そりゃ、おもしろくなきゃ現代までなんて残らないだろうから、当然と言えば当然なんだろうけど。 余談だが、この日はじめて、「北千住」の読みが「きたせんじゅ」だったことを知った。なんでわざわざ「じゅ」で止めるのさ。だから「きたせんじゅう」で一発変換できなかったのか……。ちょっとした衝撃だった。
by csiumd
| 2006-11-17 19:58
| 芝居
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